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BELDEN 8412の真実と8770との比較

日本ではすっかりメジャーとなりました米国BELDEN社の8412番ケーブルのお話を今回はしようと思います。

昨今、このBELDEN 8412ケーブルは日本の音楽業界ではメジャーの地位を築き、ギターケーブル用・ベースケーブル用といった楽器用から、オーディオ用の音声信号用としても幅広く使われるようになりました。

実はこのケーブルの設計はものすごく古いもので、だいたい1950年代〜60年代の設計物ということをご存じでしょうか?それだけ歴史の古いケーブルで、元来はマイク用・レコーディング用のケーブルとして設計されたローインピーダンスケーブルです。

また各所で見かける「海外スタジオの定番」という記述や、「フラットな音」という記述は実は全て真実ではない、ということも下記をご覧いただければお判りになるかと思います。


BELDEN 8412の構造は絶縁体に耐老化性・電気的性質・耐油性に強いゴムであるEDMP(エチレンプロピレンジエンゴム)を使用したもので、太さは20AWG×2芯+シールド。外皮もEDMPでつくられており、独特のゴム質感があります。

EDMPは「電気的性質が良い」とはいえゴムの中での話しで、その電気特性は現代のスタジオ用ケーブル類(MogamiやCanare等)に使われているポリエチレンやポリプロピレンや、BELDEN 88760やその他のプレナムケーブルシリーズに使われているテフロン系と比較すると、比誘電率、電気抵抗的には相当よくない部類となり、電気特性をマイナスなく伝送することはできず、フラットに音を伝達できる構造にはありません。

サウンドは基本的には絶縁抵抗から起こる、超高域と中域減衰〜錫メッキによる効果で中高域にピークが出てドンシャリとなります。

こういった素材は、昔のリボンマイクに付属されていたケーブルなどと構造が酷似しており、云ってみればBELDEN 8412の構造自体はヴィンテージケーブルのようなものといえます。その代わり、ウォーム質感を持たせたいマイクなどにはハンダとの組み合わせで、良いアナログサウンドなケーブルが作れます。またギターケーブルとしても悪くはないのですが(得にJAZZ系にはヴィンテージハンダとのマッチングで合うかもしれません)、弊社ではどちらかといえば、ベースケーブルとしてお薦めします。ちょうど、このドンシャリ具合がベースの帯域にマッチして、非常にエッジがありパワフルな低音を響かせてくれます。また、オーディオ用ケーブルとしてでしたら、このドンシャリ具合が結構ROCKなサウンドになるので、そういった音楽の視聴時や制作時にはお薦めかもしれません。ただし、スタジオモニターケーブルとしての使用は御法度です。これだけはやめるべしです。


ところで、よく間違われるお話としては、BELDENのケーブルだから、BELDENブランドのサウンドがする筈、という認識。

例えば、オヤイデ電気さんが制作されているブランドのケーブルは、PCOCC-Aなどの導体を使われているため、中高域のキラッとし、且つ芯のあるサウンドが特徴で、そのブランドイメージが定着しているかと思いますが、ことBELDENのケーブルにはそれは当てはまりません。

というのは、BELDENは元来は「工業用ケーブルメーカー」です。その為、実に数100種類のケーブル型番が存在し、それぞれの用途として使われています。もちろん、その用途によって、ケーブルの構造は全く別モノとなります。ケーブルの音質というのは、導体の太さ、導体の銅構造、導体のメッキの種類、絶縁体の種類、芯線の数、シールドの構造、内部ジオメトリー、外皮材質などの多岐に渡る構造が総括的に音質に還元されます。そうなると、当然ですがBELDENのように数100もあるケーブルが同じ傾向な音質になりうることはないのです。実際、弊社でも多くのBELDENケーブルを取り扱ってまいりましたが、同じサウンドというものは、1つとしてありませんでした。(むろん、シリーズものとしては構造が近いものは音質傾向は近くなります)

ちなみに弊社で取り扱っている、BELDENの「オーディオ用ケーブル」登録のBELDEN 8770と、BELDEN 8412の比較をしますと、8770は絶縁体にポリエチレンというホームオーディオ用ケーブルやスタジオ用ケーブルでは定番の高品質な素材を使っている為、電気抵抗においてはかなり優秀で、フラットレスポンスに近いサウンドとなります。また太さも18AWGと太く、それがそのまま音の太さに反映されます。ですので、両者を比較すると8770の方が全帯域において太くクセが少なめで、しっかりとしたサウンド。ということになります。

ケーブルとは基本的に、いかに電気的ロスを減らして、信号を伝達するかということがポイントとなるため、電気抵抗の強い素材と構造をもつBELDEN 8412はフラットに電気信号を伝えることは難しいというのが本当のところです。


先に海外のスタジオの定番といわれていることも真実ではないと記述しましたが、海外の・・得にアメリカのスタジオで一番使われているケーブルは、実は日本のMOGAMI製ケーブルです。MOGAMIのケーブルは安価で且つ電気特性の良い構造で作られており、導体メッキもなくクセの少ないOFC銅仕様。音質もブライトで扱いやすく、また柔軟性や外皮カラーバリエーションに長けているので、アメリカのスタジオでは非常によく使われています。また日本のスタジオの多くもMOGAMIが使われています。BELDENの8412を引き回しているスタジオは、おそらく米国ではほぼ皆無でしょう。

ただし、MOGAMI以外でもBELDEN製のケーブルで更にフラット特性に長けたケーブルは多くあります。弊社で取り扱っている89418や88760や83320Eなどなど。またポータブルオーディオなどでも相当に良いケーブルが制作可能です。定番に囚われないで、新しい発見をしていき、更に良いシステムを追求するのは、とても前向きで良いと思います。あとはどれを選ぶか次第でしょう。

BELDEN 8412
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BELDEN 8770
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by wagnus. | 2010-10-01 14:05 | BELDEN音質比較 | Comments(0)
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