商品を開発するというのは、ある種とても孤独に身を置いて創っていくものです。
自分たちの理念、プライド、コンセプトを維持するためには至極当然、その閉じた空間で作り、堂々と商品を提供する。
それが今までの商品開発のやり方。
2018年4月に、私たちは弊社の当時最高傑作で怪物じみたリケーブル「OmniSheep」を開発しました。
その折も、チームで妥協なく研ぎ澄まして創りあげ、ブランドとしての誇りを懸けて商品を発表し、多くの皆様にお届けさせていただきました。
それから2年半。妥協なくブランドの頂点を創りあげた「OmniSheep」を100本以上製作していく中、その度に「もしかしたら、こうしたら、更に良くなるんじゃないのかな?」という感覚が自分たちの中で駆け巡って行きます。
しかし、自分たちの理念で作り上げるには、既にもう「OmniSheep」で十分と言えるものが出来上がっていたので、もうそれ以上はプラグ変更や、バージョン違いなどのマイナーアップデートで良いかなと感じていました。
とあるオーディオフェスの終わりに、いつもご愛好いただいているお客様たちをご招待して飲み会を中野で開かせていただきました。
そこで聞かれたのが「実際、OmniSheepを超えるケーブルって作れないんですか?」という何気ない質問。
私は、「正直、作ろうと思えば、おそらく作れます。しかしそれには、1から線材を再設計して、1本線から製造する必要があるので、莫大なコストが製造費に掛かってしまうでしょう」と答えました。
そうなんです。私たちの中で「もしもOmniSheepを超えるなら、これしかないだろう」という考案はありました。
OmniSheepは製造方法として、1本あたり40芯の純銀メッキCLASS-A OFC LITZ Sheepワイヤー+シルク巻き線を1接点につき2本(計80芯)を使い、LR合計で8本線(総数360芯)を使う極太リケーブルです。
この特殊な構造のせいもあり、取り回しは良くなく、また接点処理数が増える分、接点による表皮効果(高い周波数に対する影響を与える)が僅かに起きるだろう、という知見がありました。
(周波数破綻が起きづらいツイスト処理などでの工夫は行っています)
この構造のOmniSheepを超えるには、そのポイントを更に磨き上げるわけです。
まず、芯数を1接点につき、80芯→120芯に変更。これはもうイヤホンリケーブルとして使える限界のサイズです。
しかも重要なのは、2本の線を束ねて作るのではなく、1本線の中に120芯+シルク巻き、という全く新しい構造で作ること。 それにより、接点での表皮効果を減らし、より完全に近い形でダイレクトな電気伝送ができるはず。
そして芯数がOmniSheepよりも1接点あたり40芯も増える(4接点で、総数480芯!)ので、音の厚みや低音の真からくる物理的量感が増える、また構造的に破綻がないので高域への伸びも無欠になるだろう。
そのようにすれば、確実にOmniSheepを超えるものは作れると予測できました。
しかしこれは、あくまで机上の空論です。
一応、「これしかないだろう」に近い仕様での実験は行っていました。弊社の2016年フラッグシップリケーブルである、Frosty Sheepの線材は1本あたり60芯なので、それを2本束ねての実験(つまりFrosty Sheepの8コア版)です。
音的には驚愕するものでした。まるでイヤホンがスピーカーのように聞こえるようでした。しかし、当然取り回しもよくないですし、接点的な限度も感じて実販売はNGとしていました。
※様々な観点から実販売NGとなった幻の実験作「Frosty Sheep 8wire ver.」。しかしこの実験をヒントに、まだ見ぬ新ワイヤーによるイメージの具体化、そして期待が膨らんでいきます
真に上記の考案するものを作るためには、イチから線材を設計し、工場で製造する必要があり、コストが莫大にかかることになります。
その為、私たちは躊躇していました。
このような話を、先ほどの中野でのお客様との飲み会で、少しお酒に酔ってワイワイ話していたのですが・・そこでお一人がこう言われました。
「もし本当に、OmniSheepを超えるようなリケーブル作れるなら、ぼくは全然、少し出資とかしますよ!めっちゃ興味ありますもん!」
「私も出しますよー!」
と数名つづけられました。
おお、なんかこれ、いいなぁ、と。
今まではブランドとして、孤独に研ぎ澄ませて創って来た製品開発ですが、こうやって、お客様と共に皆でお酒を酌み交わして、夢を語らい、 面白いものを創っていこうという感覚は斬新でしたし、私たちだけでは進もうとしなかった道までも、開拓できる手段になり得るなぁと感じました。。
そこから色々と考え、それなら実践してみようと思い行き着いた答えが、今回のクラウドファンディングで皆さんのお力をお借りしての「人と人との繋がりで作る、私たちの最高傑作」です。
皆で力を合わせることで、今まで叶わなかった夢の結晶のようなものを創っていく!
うん、これならやってみる価値がありそうだと。
今回そのようなコンセプトで、このプロジェクトはスタートしました。
そうと決めたら、まずは今年に入り国内の高品質ワイヤー製造工場にサンプルを依頼します。それから暫くして、1本につき120芯の超規格外サンプルワイヤーがついに到着し、製作を開始しました。
決して多くはない数のサンプル線材を、ドキドキしながら実験的に、リケーブルへと丁寧に作り上げていく。
音の傾向を知るためにも、まずは最もフラットに鳴らせる、弊社の技術である「NU-1」の仕様で実験をしました。
初めてのサウンドチェック開始。
・・・・
ヤバイ。
いきなり、今まで聞いたことのない、狙い通りの深く厚みのある重低音が鳴り響き、まさにスピーカーが目の前にあるかのようなサウンドステージ。。
鳥肌が立ちつつ、OmniSheepと比較をする。
明らかに、OmniSheepよりも低音の量感が増し(OmniSheepも低音は凄かったけどそれ以上)、それでいてピント描写に隙がない。
思っていた以上に、凄みのあるサウンドが鳴り響いています。
しかし、なんかまだ、こいつまだ本気出してないな・・?という感触と疑念が。
あと、低音の量感が強いためか、高域を少しマスクしている(曇らせている)ようにも思える。
ちょっとこれは、試しに音を流しエージングを行い、数日様子をみることに。
それから100時間の鳴らしこみをすると、お、割とすっきりとして来たかも。
一つ目安としていた曲(RadioheadのHouse of Cards)があり、その曲の出だしで、分かりやすいくらいに高域が詰まって聞こえていたところに、抜け感が出て来ました。
でも、これもっと変わるかもしれない、という感触を覚え(長年の勘です)、さらに100時間以上かけて、鳴らし込んでいく。
正直、このまま、変化が無いようだと、この高域の抜け感がマスクされる感じは、ちょっと弱点になるなぁ、、と危惧していました。
ところが、エージングも250時間ほど行った後に、試聴をすると・・・
え・・
びっくりするくらい、以前の低音から高域がマスクされる印象が晴れ、非常に高域もクリアで、凄まじくバランスの良い一切の弱点がないサウンドに化けていました。
このバランスと、情報量と音の厚みは間違いなく、OmniSheepを超え、イヤホンの性能を、3段階以上パワーアップ(要は本来の性能を限界まで引き出す)させる印象で、もう不安は一掃されました。ついでに、取り回しも大分良いです!
そこから、NU-2、NU-3と、もう二つのバージョンを作り、しっかりと音質的な差別化もでき、ついに3バージョンのサンプルリケーブルが完成しました。
次のステップとして、「最高傑作」を謳うためにも、見た目に一層こだわり、スプリッターパーツとケーブルスライダーの製造です(これはまだ未完成ですがデザインはほぼ決まっていて、サンプルの手配とチェックをしつつお届けまでに間に合わせます!)。
そして最終ステージとして、私たちは、このクラウドファンディングを通して、皆さんのご支援を頂戴しまして、線材の十分な必要数を製造し、製品化を進めて行きたいと考えています。
もちろん、その最中でも皆さんのご意見をいただき、さらにブラッシュアップをしていけたらと考えています!
このクラウドファンディング期間だけの、特別なカラーバリエーションもご用意させていただきましたので、皆さんでお楽しみいただけますと嬉しいです。
ぜひ、皆でご一緒に「最高傑作」“Zillion Sheep”を創り上げていきましょう!
WAGNUS.
Haru Wagnus
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